
OURO事業部 部長
辻野 雄弥
プロフィール
OURO創業期より事業に参画。国内外の営業基盤をゼロから構築し、現在20カ国以上に広がる販売ネットワークの構築および拡張を実現。
年間取引高1600億円規模における取引判断を主導し、真贋判定、相場判断、販売先選定を含む意思決定を統括。商材面においても定番モデルから希少モデルまでの幅広い取引経験を有し、営業および事業成長を現場起点で牽引している。
https://brandouro.com/column/reviewer_yuuya_tsujino/
2025年、あなたのロレックスはどんな一年でしたか。
腕に巻き続けていた一本、コレクションの中で眠っていた一本。
そしてふと「今、これはいくらつくのだろう」と思った瞬間があったなら、その時計はすでに市場という大きな流れの中に位置づけられています。
OUROが2025年の全買取取引データをもとに集計したランキングから、今年のロレックス市場の実像が浮かび上がりました。
買取件数と平均買取単価—2つの切り口が明らかにしたのは、「最も売れたモデル」と「最も高値がついたモデル」が、まったく異なる顔を持つという事実です。

買取件数ランキングの1位に輝いたのは、コスモグラフ デイトナ 126500LNでした。
現行デイトナのラインナップの中でもセラミックベゼルと黒文字盤の組み合わせが特に人気を集めるこのモデルは、2021年のデビュー以来、高い流動性を維持し続けています。
「人気がある」ということは、買いたい人が多いだけでなく、売りたい人も多い。
126500LNのランキング首位は、そのモデルが市場でいかに活発に動き続けているかを物語っています。
OUROの買取現場でも、126500LNをお持ちになるお客様は後を絶ちません。
「他のモデルに乗り換えたい」「相場が高いうちに手放したい」。
そうした判断の積み重ねが、年間を通じた取引件数の多さに反映されています。
2位から10位を見渡すと、ひとつの傾向が際立ちます。
GMTマスターIIが、実に5モデルもランクインしているのです。
2位の126710GRNR(ブラック×グレー、通称「バットマン」)、3位の126710BLNR(ブルー×ブラック)、5位の126710BLRO(ブルー×レッド、通称「ペプシ」)、7位の126720VTNR(グリーン×ブラック、通称「スプライト」)、8位の126711CHNR(ブラウン×ブラック、通称「ルートビア」)—ベゼルカラーの愛称で親しまれるこれらのモデルが、上位を席巻しました。
4位にはデイトジャスト 41(126334)、6位にサブマリーナー デイト(126610LN)、9位に旧型デイトナ(116500LN)も名を連ね、スポーツ系モデルを中心に幅広いラインナップが並ぶ結果となりました。
GMTマスターIIが件数上位を独占する背景には、このモデルが持つ独特のポジションがあります。
実用時計としての機能性(GMT機能による2タイムゾーン表示)と、コレクターズアイテムとしての希少性が同居するモデルは多くありません。
GMTマスターIIはその両方を満たしながら、ベゼルカラーのバリエーションによって「複数所有」や「コレクション入れ替え」の動機を生み出し続けています。
「バットマンを持っているが、ペプシも気になる」「スプライトを手に入れたので、旧モデルを手放したい」。
査定の現場でも、このような乗り換え・入れ替えの相談をよくいただきます。
GMTマスターIIは、ロレックスの中でも特にコレクターの循環が活発なモデルといえるでしょう。
加えて、正規販売店での入手難易度が高いことも流通を後押しします。
入手困難なモデルほど二次流通での需要が高まり、それが売却時の価格安定につながる—この循環が、GMTマスターIIの高い流動性を支えています。

一方、平均買取単価のランキングは、まったく異なる顔を見せます。
1位はコスモグラフ デイトナ 6239/8(ヴィンテージ)で、平均買取単価はなんと1億円。
2位の126595RBOW(デイトナ レインボー)が約6,730万円、3位の116595RBOWが約6,154万円と続き、上位はほぼすべて、宝飾系モデルかヴィンテージデイトナによって占められています。
買取件数ランキングの1位だった126500LNは、単価ランキングには登場しません。
「最も売れたモデル」と「最も高値がついたモデル」は、まったく別の世界に存在しているのです。
単価ランキングのTOP10を改めて見ると、その構成が鮮明になります。
4位以下も126599RBOW・126598RBOW・116599RBOW(いずれもレインボー系)が続き、7位以降はヴィンテージ宝飾モデルの16559SACO・116588SACO・16589SALV・16589SACIが並びます。
10位すべてがデイトナという結果は、このモデルの価格帯における圧倒的な存在感を改めて示しています。
特に注目すべきは、ヴィンテージモデル(6239/8)が現行の宝飾モデルをも超えて1位に立っているという事実です。
なぜレインボーモデルとヴィンテージデイトナが、これほどの高値を維持し続けるのでしょうか。
レインボーモデルの特徴は、ベゼルに虹色に配されたカラフルなサファイアを使用している点にあります。
製造工程の複雑さと一本一本の個体差によって希少性が担保されており、「同じ色合いの個体が存在しない」という事実がコレクターの所有欲を刺激し続けます。
また宝飾時計としての側面から、アートコレクションに近い価値基準で評価されることも多く、一般的な需給の論理だけでは説明できない価格帯を形成しています。
一方のヴィンテージデイトナ(6239/8)が1億円に達する背景には、個体の稀少性と歴史的な文脈があります。
1960年代に製造されたこのモデルは、現存する個体数が限られており、状態の良いものはオークションでも高値を記録し続けています。
OUROの買取現場でも、「相場は知っているつもりだったが、自分の個体がここまでつくとは思わなかった」とおっしゃるお客様が、宝飾・ヴィンテージモデルでは少なくありません。
適正価格の判断には、相場の数字だけでなく、個体の状態・リファレンス・付属品の有無など、複合的な要素を読む目が必要です。
OUROが相場情報を継続的に発信しているのも、こうした判断材料を広く届けるためです。
今回のデータが示した最も重要な事実は、「流通量の多いモデル」と「高値のつくモデル」が明確に分かれているという構図です。
GMTマスターIIやデイトナ126500LNが件数を牽引する一方、価格の頂点にはヴィンテージとレインボーが君臨する—これは2025年のロレックス二次市場の断面図といえます。
OUROが大切にしているのは、こうした市場の実態を正確に把握し、お客様一人ひとりの時計に見合った査定を届けることです。
同じ「デイトナ」という名前でも、リファレンスによって価格は数百万円から1億円まで開く。
その差を丁寧に説明し、納得のうえで判断していただくことが、私たちの役割だと考えています。
あなたの手元にある一本が、このランキングのどこに位置するのか。
それを知ることが、売却という意思決定の最初の一歩になるかもしれません。
| データ名称 | OURO 2025年ロレックス買取実績データ |
| 集計対象 | 2025年1月〜12月にOUROが実施した全ロレックス買取取引 |
| 集計項目 | 買取件数・平均買取単価(リファレンス別) |
| 取引形態 | 店頭・宅配・出張買取を含む |
| 公開範囲 | 買取件数は順位のみ公開(実数非公開)、平均買取単価は金額公開 |
| 調査主体 | 株式会社JUNIOR(OURO) |
| 公開日 | 2026年2月27日 |
- 2025年の買取件数1位はデイトナ126500LN、流動性の高さが首位の背景
- 件数TOP10にGMTマスターIIが5モデルランクイン、乗り換え需要が活発
- 平均買取単価1位はヴィンテージデイトナ6239/8で1億円
- 単価TOP10はレインボー系とヴィンテージ宝飾のデイトナが独占
- 「売れるモデル」と「高値のモデル」は別で、リファレンスごとの把握が重要

