
OURO事業部 部長
辻野 雄弥
プロフィール
OURO創業期より事業に参画。国内外の営業基盤をゼロから構築し、現在20カ国以上に広がる販売ネットワークの構築および拡張を実現。
年間取引高1600億円規模における取引判断を主導し、真贋判定、相場判断、販売先選定を含む意思決定を統括。商材面においても定番モデルから希少モデルまでの幅広い取引経験を有し、営業および事業成長を現場起点で牽引している。
https://brandouro.com/column/reviewer_yuuya_tsujino/
2025年、あなたの時計はどんな一年を過ごしましたか。
腕に巻いていた時間、引き出しで眠っていた時間。
そしてもし「売ろうか」と考えた瞬間があったなら、その時計はすでに「市場」という大きな流れの中に位置づけられています。
OUROが2025年1月から12月まで、店頭・宅配・出張の全取引を対象に集計した買取実績データから、今年のブランド腕時計市場の動きが浮かび上がりました。
買取件数と平均買取単価、2つの切り口から見えてきたのは、「売れる時計」と「高値がつく時計」が、実は異なる顔を持っているという事実です。

2025年の買取件数ランキングは、ROLEXが圧倒的な1位となりました。
2位にPATEK PHILIPPE、3位にAUDEMARS PIGUETが続き、上位3ブランドでハイエンド市場の中核を担う顔ぶれが並びました。
4位にCartier、5位にOMEGAが入り、6位以下にはVacheron Constantin、Richard Mille、PIAGET、HERMÈS、A. Lange & Söhneが続きます。
資産性と流通量を兼ね備えたブランドが上位を占め、一方でリチャード・ミルのように平均単価では別格の存在感を示すブランドが件数ランキングにも顔を出す点が、2025年市場の特徴といえます。
ROLEXが買取件数で群を抜く背景には、知名度・流通量・資産性の三拍子が揃っているという事実があります。
スポーツモデルからドレスウォッチまで需要層が広く、売却を検討する際に「相場が形成されやすい」という安心感が、ユーザーの行動を後押しします。
OUROの買取現場でも、「まずロレックスから」という方は多く、売却の入口としての役割を担っているブランドでもあります。
付属品の有無やリファレンスによって査定に大きな差が出やすく、「どのモデルをいつ売るか」の判断が、実際の取引金額に直結しやすいブランドです。

平均買取単価ランキングの1位はRichard Milleで、平均買取単価は約4,224万円。
2位のGREUBEL FORSEY(約3,300万円)、3位のF.P.Journe(約2,286万円)と、いわゆる「インディペンデント系」の超高額ブランドが上位を独占しました。
4位にはPATEK PHILIPPE(約1,840万円)が入り、定番ハイエンドの存在感を示しています。
5位のUrwerk(約1,170万円)、6位のAUDEMARS PIGUET(約881万円)と続き、9位のA. Lange & Söhne(約607万円)、10位のVacheron Constantin(約521万円)まで、いずれも高度な技術力とブランド背景を持つ顔ぶれが並びました。
Richard MilleやGREUBEL FORSEYが平均単価の上位を占める背景には、「換金性」だけでなく「作品性」への評価があります。
超少量生産、独創的な機構、素材の希少性—これらが組み合わさることで、二次市場においても定価を超えた価格形成がなされるケースが多いのです。
OUROの査定現場でも、これらのブランドは真贋確認・整備履歴・付属品の揃いが特に重視される領域です。
「なぜこの価格か」を説明するためには、市場動向のみならず、個体ごとの来歴や状態を丁寧に読み解く必要があります。
今回のデータで際立つのは、買取件数の上位と平均買取単価の上位が大きく異なるという事実です。
ROLEXは件数では圧倒的1位ですが、単価ランキングには登場しません。
一方、Richard Milleは件数ランキング7位にとどまりながら、単価では断トツの1位です。
「売却が活発なブランド」と「高額取引が生まれるブランド」は、必ずしも一致しない—この構造は、時計を「資産」として捉える際に重要な視点を提供しています。
流動性の高さを求めるのか、1回の取引の価値を最大化したいのか。
売却の目的によって、最適なブランド・モデルの選び方は変わってきます。
どのブランドにも共通する査定のポイントが2つあります。
1つは「付属品の完備」、もう1つは「状態が大きく崩れる前のタイミング」です。
OUROが日々の取引で感じるのは、保証書・箱・整備履歴が揃った個体は、同モデルの中でも明確に評価が上がるという事実です。
特にPATEK PHILIPPEやA. Lange & Söhneのように、付属品の有無が査定に与える影響が大きいブランドでは、「揃っているうちに」という判断が、結果として大きな差になります。
2025年の買取データが示したのは、ブランド腕時計市場が「取引の活発さ」と「価値の高さ」という2つの軸で動いているということです。
どちらの軸にも共通するのは、相場・状態・付属品という3つの要素が、最終的な査定額を大きく左右するという事実です。
市場は常に動いています。
供給量の変化、為替、海外需要、モデルの廃番—さまざまな要因が相場を動かす中で、「今が売り時かどうか」を判断するには、ブランド全体の人気だけでなく、型番ごとの動向を把握することが重要です。
OUROが大切にしているのは、その判断を売却者とともに行うことです。
「高く買い取る」だけがゴールではなく、「なぜ今この価格なのか」「もう少し待った方が良いか」—そういった問いにも誠実に向き合うことが、後悔のない取引につながると考えています。
あなたの時計の「売り時」は、データの中にヒントがあるかもしれません。
| データ名称 | ブランド腕時計の買取実績(2025年総括) |
| 集計期間 | 2025年1月1日〜2025年12月31日 |
| 集計対象 | 店頭・宅配・出張の全取引 |
| 集計主体 | 株式会社JUNIOR(OURO運営) |
| データ背景 | 年商1,600億円・世界20カ国以上の販売ルート・市場データをもとに集計 |
- 2025年の買取件数はROLEXが圧倒的1位、PATEK PHILIPPE・AUDEMARS PIGUETが続く
- 平均買取単価はRichard Mille(約4,224万円)が1位でインディペンデント系が上位独占
- 買取件数の上位と単価の上位ブランドは一致せず市場は二極構造
- 付属品の完備と状態が崩れる前のタイミングが査定額を左右する共通ポイント
- OUROは売り時の判断を売却者とともに行う姿勢を大切にしている

