
OURO事業部 部長
辻野 雄弥
プロフィール
OURO創業期より事業に参画。国内外の営業基盤をゼロから構築し、現在20カ国以上に広がる販売ネットワークの構築および拡張を実現。
年間取引高1600億円規模における取引判断を主導し、真贋判定、相場判断、販売先選定を含む意思決定を統括。商材面においても定番モデルから希少モデルまでの幅広い取引経験を有し、営業および事業成長を現場起点で牽引している。
https://brandouro.com/column/reviewer_yuuya_tsujino/
「エル・プリメロという名前は聞いたことがあるけれど、何がそんなに凄いの?」
高級時計の世界に触れると、必ずと言っていいほどこの名前に出会います。
エル・プリメロとは、スイスの老舗ブランド「ゼニス」が生み出した伝説のムーブメント(時計の心臓部)です。
実は、あの世界一有名な時計「ロレックスのデイトナ」にも採用されていたほどの圧倒的な実力を持っています。
一度は時代の波に飲まれて消えかけましたが、一人の技術者の情熱によって奇跡の復活を遂げました。
この記事では、エル・プリメロがなぜ伝説と呼ばれているのか、その理由や歴史、そして今選ぶべき人気モデルまで分かりやすく解説します。
エル・プリメロが時計ファンから特別な存在として扱われるのには、しっかりとした理由があります。
まずは、その驚異的な中身と誕生した背景について見ていきましょう。
エル・プリメロの凄さを語る上で欠かせないのが、ハイビートと呼ばれる仕組みです。
一般的な時計は1秒間に6回から8回針が動きますが、エル・プリメロは1秒間に10回も細かく動きます。
これを1時間に換算すると、なんと36,000回も振動していることになります。
針の動きが非常に細かいので、時間がズレにくく、圧倒的な精度を保てるのが大きな特徴です。
チチチチ…と高速で時を刻む音と、滑らかに流れる秒針の動きは、見る人を一瞬で虜にする美しさを持っています。
1969年は、時計の世界で革命が起きた年として歴史に刻まれています。
それまでのストップウォッチ付き時計(クロノグラフ)は、手でゼンマイを巻くのが当たり前でした。
しかし、ゼニスはこの年に世界で初めて「自動巻き(腕に付けていれば勝手に巻かれる)」のクロノグラフを完成させたのです。
「エル・プリメロ」という名前は、エスペラント語で「ナンバーワン」を意味します。
まさに、世界一を目指して作られたこの機械は、当時の時計業界に衝撃を与えました。
誕生から50年以上が経った今でも、エル・プリメロが現役として愛されているのは驚くべきことです。
普通、機械の設計は数年も経てば古くなりますが、エル・プリメロの設計は最初から完成度が非常に高かったのです。
現代でも通用する高い精度に加え、その複雑で美しいメカニズムには、まさに工芸品のような魅力があります。
最新モデルにもこの伝統的な設計が受け継がれていることが、多くの時計ファンから絶大な信頼を得ている理由なのです。
エル・プリメロの名前を世界に知らしめたのは、自社の時計だけではありませんでした。
そこには、誰もが知る有名ブランドとの絆と、消滅の危機を乗り越えた感動のドラマがあります。
世界一の知名度を誇るロレックスですが、かつては自社で自動巻きクロノグラフを作っていませんでした。
そこで、理想のムーブメントを探していたロレックスが白羽の矢を立てたのが、ゼニスのエル・プリメロでした。
当時のロレックスが求めていたのは、過酷な使用にも耐える最高の信頼性でした。
エル・プリメロは、その厳しい基準をクリアできる唯一の機械だったのです。
そのため、1988年から約12年間にわたり、伝説のモデル「デイトナ」の心臓部として採用され続けたのです。
実は、エル・プリメロは一度この世から消える運命にありました。
1970年代にクォーツ式が普及し、会社から「機械式時計の道具をすべて捨てろ」と命令が出たのです。
この危機を救ったのが、技術者のシャルル・ベルモでした。
彼は命令に背き、製造に必要な設計図や金型を工場の屋根裏部屋にこっそりと隠しました。
数年後、再び機械式時計の価値が見直されたとき、この隠された道具があったので、エル・プリメロは見事に復活できたのです。
エル・プリメロを認めたのは、ロレックスだけではありません。
ウブロの「スピリット オブ ビッグバン」や、ルイヴィトンのタンブール、パネライやタグ・ホイヤーの一部のモデルにもにも搭載された実績があります。
一流ブランドがこぞって自社の時計に採用したがるのは、それだけエル・プリメロの完成度が群を抜いている証拠だといえるでしょう。
他社に機械を供給することは、時計業界では「最高の技術を持っている」と認められたことと同じ意味を持ちます。
この圧倒的な信頼こそが、エル・プリメロが伝説と呼ばれる大きな理由なのです。
エル・プリメロの凄さがわかったところで、次は今手に入る人気のモデルを紹介します。
どれもゼニスの技術が詰まった、一生物にふさわしい名作ばかりです。
ゼニスの最新技術を詰め込んだのが、この「デファイ 21(トゥエンティワン)」です。
エル・プリメロをさらに進化させ、なんと1秒間に1回転する驚異のスピードで針が動きます。
これは1/100秒という、目にも留まらぬ速さを計測できる仕組みです。
文字盤が透けていて中の機械が見えるデザインが多く、メカ好きな人にはたまらない見た目をしています。
「最新のすごいゼニスが欲しい」という人に、ぜひ手にとってほしい近未来的な1本です。
「エル・プリメロ スポーツ」は、どんな服にも合わせやすい王道のスポーツウォッチです。
しっかりとした存在感のあるサイズで、腕元をかっこよく演出してくれます。
ストップウォッチの針に赤色が使われているのが特徴で、とてもスポーティな印象を与えてくれます。
水に強い設計なので、仕事だけでなくバーベキューや旅行などのアクティブなシーンでも安心して着用できるでしょう。
「これぞゼニスの定番」という力強さを求める人に、長く愛され続けているモデルです。
一生モノとして贅沢な1本を選びたい人には、18金(ローズゴールド)を使ったモデルがおすすめです。
温かみのある金の輝きと、ゼニスの緻密なメカニズムが合わさった姿は、まるで芸術品のような美しさです。
時計の中身が丸見えの作りになっており、光が当たるたびに中のパーツが上品に輝きます。
ただの腕時計ではなく、自分へのご褒美や人生の節目に選ぶ人が多い特別なモデルです。
機能性だけでなく、ジュエリーのような高級感を楽しみたい人にふさわしい選択肢といえます。
エル・プリメロは非常に人気があるので、中古市場でも活発に取引されています。
かつてのデイトナと同じ時代のモデルや、今は生産されていない限定カラーなどが眠っています。
中古で探すときは、メンテナンス(オーバーホール)がしっかりされているかを確認するよう心がけましょう。
歴史のあるムーブメントなので、状態が良いものを選べば、これから先も長く使い続けることが可能です。
予算を抑えつつ、憧れの伝説モデルを手に入れたい人にとって、中古市場は宝の山といえるでしょう。
エル・プリメロは非常に精密な機械なので、購入前に「維持するのが大変そう」と心配する人も少なくありません。
ここでは、初心者が気になる寿命や費用の疑問にズバリお答えします。
エル・プリメロのハイビートは故障しやすく寿命が短いのでは?
エル・プリメロのオーバーホール費用は他より高いのでしょうか?
エル・プリメロは、単なる時計の機械ではありません。
世界初の自動巻きクロノグラフとしての歴史や、ロレックスのデイトナにも認められた精度、そして屋根裏部屋から復活したドラマのすべてが詰まっています。
1秒間に10回も時を刻むハイビートな動きは、50年以上経った今でも世界最高峰の技術として愛されています。
最新のデファイや王道のスポーツなど、どのモデルを選んでも、伝説の鼓動を肌で感じることができるでしょう。
精密な機械なので定期的なお手入れは必要ですが、それ以上に一生モノとしての満足感を与えてくれるはずです。
もしあなたが、歴史と技術が詰まった最高の一本を探しているのなら、ぜひゼニスのエル・プリメロを手に取ってみてください。
その滑らかな針の動きを見た瞬間、あなたもその魅力の虜になるはずですよ。
- ゼニスが生み出したエル・プリメロは、世界初の自動巻きクロノグラフ
- 毎時36,000振動のハイビートが、驚異的な計時精度を生み出している
- 廃棄命令に抗った職人の情熱が、奇跡的な復活劇を可能にした
- ロレックスのデイトナにも搭載された、圧倒的な信頼性を誇る
- 定期的なケアで一生使い続けられる、究極の機械式時計といえる

