
OURO事業部 部長
辻野 雄弥
プロフィール
OURO創業期より事業に参画。国内外の営業基盤をゼロから構築し、現在20カ国以上に広がる販売ネットワークの構築および拡張を実現。
年間取引高1600億円規模における取引判断を主導し、真贋判定、相場判断、販売先選定を含む意思決定を統括。商材面においても定番モデルから希少モデルまでの幅広い取引経験を有し、営業および事業成長を現場起点で牽引している。
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腕時計にはリューズと呼ばれる小さな突起がついています。
しかし、どう扱うのかよく分からない人もいるのではないでしょうか。
リューズの取り扱いを誤ると、腕時計内部に不具合を生じる恐れがありますので、正しい知識を理解しておきましょう。
この記事では、腕時計のリューズや種類、役割の解説と、NG操作を紹介しています。
腕時計の「リューズ」は英語のようなイメージですが、漢字で表記すると「龍頭」で、その名前の由来は腕時計が発展する以前の、懐中時計の時代に遡ります。
中国の釣り鐘には龍に似た怪物「蒲牢(ほろう)」の装飾が施されていたため、日本でも釣り鐘を吊るす突起部を龍頭と呼びました。
そして釣り鐘の「龍頭」に形が似た、懐中時計の紐を通す部分もやがて龍頭と呼ばれるようになり、その名称は腕時計にも引き継がれたのです。
龍頭は懐中時計から腕時計へと進化する中で、単なる突起から内部とリンクして時間を調整する等の役割を持ち始めました。
ちなみに英語でリューズは、王冠を意味するcrownです。
腕時計のリューズは、左腕に装着することを前提にして右側についていることが多いですが、左利きの方用に左側についているものもあります。
腕時計のリューズには「引き出し式」「ねじ込み式」の2種類があり、形状は似ていても取扱方法が異なるので注意しましょう。
「引き出し式」は一般的な腕時計のリューズで、つまみを指や爪でつまんで引き出し、回転させることで時間修正やカレンダーの調整をするタイプです。
操作した後は、元通りに押し込むだけなので取り扱いが簡単で、構造もシンプルになっていることが多いでしょう。
クラシックなデザインの時計では、手巻き式、自動巻式のどちらにも引き出し式のリューズが多く使われます。
腕時計のねじ込み式リューズは、内部がねじ状になっており、ロックを緩めないと操作ができないようになっています。
ねじ込み式リューズは、水分やほこりが時計の中に入りにくいという特徴があり、防水性や気密性が必要なダイバーズウォッチなどに使われることが多いでしょう。
ただし操作が終わった後は、元通りにリューズのロックを締めておかないと、腕時計に湿気や水分が混入する恐れがあります。
スポーティーなデザインの腕時計のリューズには、ねじ込み式が多くみられます。
引き出し式だと思って、リューズを引っ張っても動かない場合は、ねじ込み式リューズの可能性があります。
ほとんどの腕時計におけるリューズの役割は「日付調整」「時間修正」「ゼンマイを巻く」の3つですが、操作方法や機能についてはメーカーやモデルによって若干異なる場合があります。
リューズは腕時計の内部とつながっている繊細な部品なので、説明書を読んだりメーカーや取扱店に確認したりして、正しい取り扱い方を理解して操作しましょう。
続いては腕時計のリューズの役割を解説します。
カレンダー表示機能がある腕時計の多くは、リューズを1段階引き出して回転させ、日付や曜日を合わせます。
メーカーや商品によってリューズの回転方向は異なるので操作する前に説明書を参照して、正しく取り扱うようにしましょう。
日付を調整した後は、リューズを押し込んで元の状態に戻します。
時計の時刻調整が必要な時は、腕時計のリューズを回転させ、長針を操作して時間を合わせます。
カレンダー表示機能がある腕時計は、リューズを1段階引き出したときに日付や曜日調整を、2段階引き出したときに時間調整を行えるものが多いでしょう。
カレンダーがない腕時計の場合は、時間調整は1段階引き出した状態で行い、リューズを一番外まで引くと、秒針が止まった状態になる時計もあります。
時差のある場所に行く時など、手動で時刻を合わせる必要がある場合は、時間を合わせる操作方法を事前にチェックしておきましょう。
クオーツ式腕時計以外の、機械式腕時計のリューズは、ゼンマイを巻くためにも使用されます。
手巻き式の腕時計の場合は、リューズが押し込まれた状態のまま、巻き止まりまでゆっくりと回して、ゼンマイを巻き上げます。
自動巻式の腕時計は、腕を動かすと自動的にゼンマイを巻く仕組みになっていますが、装着時間が短いと腕の動きが不足するため、ゼンマイの巻き上げが十分に行われません。
その場合は、リューズを手で回してゼンマイを巻く作業が必要になります。
腕時計のリューズは、つまんで操作する外側の部分しか見えませんが、内部にはリューズの動きを時計内部に伝達するための、さまざまな精密な部品が連結しています。
リューズの取り扱いを誤ると、不具合の原因となる恐れがあるので、取り扱いは丁寧に正しく行うよう心がけましょう。
次は腕時計のリューズを扱うとき、やってはいけないNG行為を紹介します。
腕時計のリューズは回転させる方向に決まりがあり、逆に回すと歯車など内部の部品に負荷がかかる場合もあるため、不具合が起きる原因になります。
回す方向は、メーカーや商品によって異なるので、正しい方向を確かめてから回しましょう。
精密な機械の部品なので、とりあえず適当に触ってみるのではなく、説明書を見たり購入した店舗やメーカーに確認したりして、取扱説明書に従って操作すると良いです。
カレンダー表示機能がある腕時計の多くは、日付変更禁止時間が設定されており、その時間帯にリューズの取り扱いをするのはNGです。
多くの腕時計は内部の歯車によって、0時付近で自動的に日付が変わる仕組みになっているため、その時間帯にリューズを操作すると、不具合が起きる恐れがあります。
腕時計が止まったり日付の変更機能がおかしくなったりしないように、その時間はリューズを触らないように心がけましょう。
日付変更時間については「よくある質問」で詳しく紹介しています。
リューズでゼンマイを巻く際、巻きすぎてしまうと腕時計の不具合が起きる場合があります。
手巻き式の腕時計の場合は、ある程度巻いたところで、それ以上巻けなくなるような手応えを感じるので、巻くのはそこまでとしましょう。
その位置は「巻き止まり」と呼ばれています。
自動巻式の腕時計に「巻き止まり」はないのですが、十分な回数巻いたらそれ以上巻くのは止めましょう。
腕時計のゼンマイは巻きすぎだけでなく、経年劣化で壊れることもあるため、大切な腕時計は定期的にオーバーホールをすると安心です。
腕時計のリューズを操作しているとき、いつもと違う感触がした際、面倒だからとそのまま使い続けたり、自分で判断して対処したりすると、深刻なトラブルになることがあります。
腕時計のリューズに違和感がある時は、早めの正しい対応を心がけましょう。
次は腕時計のリューズの不具合と、その対処法を紹介します。
腕時計のリューズが異常に硬くて、引っ張りにくかったり回しにくかったりする時は、リューズの周辺の部品が劣化している可能性があります。
水分が入ってサビや腐食が発生していたり、摩耗でパッキンが劣化していたりすると、リューズが硬く感じるようになります。
また、手巻きをする際にローターが一緒に回転してしまう「連れ回り」や、リューズが戻らないなどの現象が起きることもあるでしょう。
その際は無理に動かそうとしないで、販売店やメーカー、時計修理店に持ち込んで相談するのをおすすめします。
リューズや連結する巻き芯ごと取れてしまった場合は、無理に押し込まないで、取れた部品といっしょに修理専門店などに持ち込みましょう。
リューズや巻き芯が取れる原因で考えられるのは、金属疲労や摩耗、ネジの緩み、油切れなどによる経年劣化です。
取れたまま放置すると、中にホコリや水分が入りますし、無理に押し込むと巻き芯が折れるなど、故障する恐れがあります。
外れた部品を無くしてしまうと、修理代の他に新しい部品の価格が追加され、ブランド品なら高額な部品代が請求されることもあるため、無くさないようにしましょう。
腕時計のムーブメントに興味があって分解してみたい人や、自分で腕時計のメンテをしてみたい人など、リューズを自分で外したり、つけたりしてみたい人もいるでしょう。
しかし、腕時計は精密な機械なので注意が必要です。
最後は、腕時計のリューズに関する「よくある質問」をまとめました。
文字盤やガラスの汚れが気になり、メンテのために分解したいと思った場合、自分で外すより時計修理店などに頼むほうが安心です。
なぜならリューズを外すと部品が損傷して、もとに戻せなくなる恐れがあるからです。
時計のムーブメントを見るためにリューズを外したい場合は、もう使わない時計や壊しても問題ない腕時計で試してみましょう。
リューズを抜くには、オシドリと呼ばれるリューズを留めるパーツを見つけ、押しながら引き抜きます。
ただしオシドリは多くの種類があるので、見つけるのは難しいかもしれません。
また、リューズを戻す際に内部を傷つけて壊れる恐れがあるので、納得した上で外しましょう。
腕時計のリューズが取れてしまった場合は、専用の工具があれば取り付けられはするのですが、専門業者に依頼した方が安全です。
リューズを正確な位置に取りつけるには、高い技術力が必要とされる上に、しっかりと固定するために、ムーブメントも外さなくてはならない事態も想定されるからです。
リューズが取れただけなら簡単な修理で直せるのですが、ムーブメントを外して故障させてしまうのは、大きなリスクとなります。
リューズが取れてしまったら、取れたパーツを無くさないように気をつけて、そのまま修理に出すことをおすすめします。
メーカーやモデルによって違いがありますが、カレンダー表示機能がある機械式腕時計の多くは、午後8時から翌朝4時の8時間を、日付変更禁止時間としています。
腕時計のリューズを取り扱う際のNG行為で説明したとおり、日付変更禁止時間にリューズを操作するのは故障の原因となります。
触ったタイミングによって、壊れない場合もあるのですが、即故障となってしまう危険性もあるため、注意が必要です。
日付や曜日をよく変える方は、日付変更禁止時間がないモデルを選んだ方がいいでしょう。
腕時計のリューズは漢字で書くと「龍頭」です。
引き出し式とねじ込み式があり、使った後は元に戻す必要があります。
腕時計のリューズには「カレンダーの日付を合わせる」「時刻を合わせる」「ゼンマイを巻く」等の役割があります。
繊細な部分なので、逆回転やゼンマイの巻きすぎ、日付変更禁止時間に触るなどのNG行為は不具合を招く恐れがあり、要注意です。
違和感があったり、取れてしまったりした場合は、自分で何とかしようとすると、かえって深刻な問題になるリスクがあります。
不具合は専門店に相談したり、定期的にオーバーホールしたりして、精密な腕時計のリューズを丁寧に扱うようにしましょう。
- リューズは腕時計の操作を担う重要部品で正しい扱いが必要
- 引き出し式とねじ込み式があり操作方法に明確な違いがある
- 日付調整や時刻合わせ、ゼンマイ巻き上げの主要な役割を持つ
- 逆回転や禁止時間の操作、巻きすぎは故障リスクを高める
- 異常や脱落時は無理をせず早めに専門店へ相談する

