
OURO事業部 部長
辻野 雄弥
プロフィール
OURO創業期より事業に参画。国内外の営業基盤をゼロから構築し、現在20カ国以上に広がる販売ネットワークの構築および拡張を実現。
年間取引高1600億円規模における取引判断を主導し、真贋判定、相場判断、販売先選定を含む意思決定を統括。商材面においても定番モデルから希少モデルまでの幅広い取引経験を有し、営業および事業成長を現場起点で牽引している。
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腕時計を選ぶ上で大きなポイントとなるのが「時計の顔」とも呼ばれる「文字盤(ダイアル)」です。
その種類やデザインの豊富さから、自分のライフスタイルに合う文字盤がわからず、購入に踏み出せずにいる人も多いのではないでしょうか。
この記事では文字盤の種類や選び方について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
一般的に、文字盤はベースとなる「地板」、時刻を示す目盛りである「インデックス」、目盛りを指す「針」の3つで構成されています。
それぞれの関係や種類など、まずは文字盤の基本的構造や名称についてチェックしましょう。
「ダイアル」とは文字盤全体のことで、「インデックス」は文字盤の上に刻まれた目盛りのことを指します。
ダイアルの素材は真鍮、木材、メテオライトなど多種にわたり、インデックスもアラビア数字、ローマ数字、バーなどその種類は様々。
それぞれの組み合わせが腕時計のデザインを大きく左右するのはもちろん、この2つがあってはじめて時計としての機能が成立するため、ダイアルとインデックスは切っても切り離せない関係性と言えるでしょう。
ダイアルやインデックス同様、目盛りを指し示す「針」にも様々な種類があり、形状によって印象は大きく異なります。
主な種類と特徴は以下のとおりです。
シンプルなバー状の針。クセがなくベーシックなデザインのため、あらゆる文字盤に馴染みやすいのが特徴的です。
様々なブランドが様々なモデルに採用しています。
鉛筆のように先端が尖った針。
こちらも比較的ベーシックなデザインですが、視認性の高さからスポーツウォッチやミリタリーウォッチなど、見やすさを重視する時計に取り入れられることが多いです。
葉っぱを彷彿とさせる、ゆるやかなシルエットが特徴的な針。
流れるようなラインが非常にエレガントで、ドレスウォッチに多く取り入れられています。
また、視認性の高さも魅力的です。
指針の先がシャープに伸びた、ひし形の針。
名前はイルカを意味するドルフィンではなく、「王太子」を意味するフランス語「ドーフィン」に由来しています。
洗練された雰囲気に加え、時刻の読み取りやすさも人気のポイントです。
こちらも指針の先がシャープに伸びたひし形の針です。
ドルフィン針と似ていますが、ドルフィン針は時計の中央で根本が重なっているのに対し、アルファ針は針の根本が交わらないのが特徴的です。
スタイリッシュなフォルムから、メンズウォッチに多く取り入れられています。
時計の中央に向かってシャープに伸びたひし形の針。
ペンシル針とよく似ていますが、ペンシル針は太さが一定なのに対し、バトン針は中央に向かって細くなる点が特徴的です。
クラシカルな雰囲気があり、レディースウォッチに多く取り入れられています。
「ローザンジュ」とは、フランス語で「ひし形」の意味。
その名の通り、バランスの取れたひし形の針です。
バトン針よりもさらにクラシカルな印象が強く、メンズウォッチに取り入れられることも多くあります。
針の先端がトランプの「スペード」のような形をしている針。
愛らしさと上品さはもちろん、時刻の見やすさも魅力的なポイントです。
そのエレガントさから、ドレスウォッチに多く採用されています。
先端が矢印のようなシルエットの針。
「アローハンド」「ブロードアロー」と呼ばれることもあります。
シャープな雰囲気、そして視認性の高さが魅力で、ダイバーズウォッチやスポーツウォッチなど、プロフェッショナルウォッチに取り入れられることが多いです。
先端に月を彷彿とさせる穴が空いた針。
高級腕時計ブランド「ブレゲ」の創業者であるアブラアム=ルイ・ブレゲが生み出したことから、ブレゲ針と名付けられました。
その上品な美しさから、ブレゲだけでなく様々なブランドが取り入れています。
まるでコブラのようなフォルムが印象的な針。
夜光塗料が塗布されているものが多く、視認性が高いことから、ミリタリーウォッチやパイロットウォッチに多く採用されています。
コブラ針の一種で、ドイツの自動車メーカー「メルセデスベンツ」のロゴに似たマークがあしらわれている点が特徴的。
夜光塗料をより広く塗布するために生み出されたと言われています。
ダイバーズウォッチやスポーツウォッチに多く取り入れられています。
「文字盤」と一口にまとめても、時刻のみを表示する文字盤、日付や曜日も表示する文字盤など、様々な種類があります。
この項目では文字盤の種類と特徴について詳しく解説します。
シンプル文字盤の代表格とも言えるのが、時針・分針・秒針のみがあしらわれた「3針」というタイプです。
時刻の分かりやすさに加え、すっきりとしたデザインが何よりも魅力的。
カジュアルシーンはもちろん、洗練された上品さはビジネスシーンやフォーマルなシーンにもマッチします。
選び方は何を重視するかにもよりますが、シンプルさを追求するならインデックスはバータイプ、文字盤の色は白や黒などのモノトーンがおすすめ。
サイズも大きすぎないものを選べば、様々なファッション・シチュエーションで着用できるでしょう。
多機能文字盤とは、時刻以外の情報を知らせる機能が搭載されている文字盤のこと。
具体的にはストップウォッチの機能を備えた「クロノグラフ」、月の満ち欠けを示す「ムーンフェイズ」などが挙げられます。
たとえばクロノグラフならスポーツ観戦、仕事の時間管理、料理のタイマーなどに活躍できるでしょう。
シンプル文字盤の腕時計に比べ機能性に優れていることから、多機能文字盤はより実用性の高い時計とも言えるでしょう。
アナログ表示とデジタル表示の一番の違いは、時刻の表現方法です。
アナログは針の動きで時間を示し、デジタルは液晶等に数字で時間を表示します。
そのためアナログ表示は時刻を感覚で読み取ることが多いのに対し、デジタルは正確な時間が瞬時にわかりやすい点が特徴的です。
デジタル時計は衝撃にも強く、スポーツウォッチに多く取り入れられていますが、その分カジュアルな印象が強い点もポイント。
一方、アナログ時計はデザイン性に優れており、フォーマルなシーンでも着用しやすいです。
デザイン性重視ならアナログ、機能性重視ならデジタルと覚えておくと良いでしょう。
腕時計の印象を大きく左右するポイントの一つが、文字盤のカラーです。
色味によってカジュアルな雰囲気が強調されたり、フォーマルな雰囲気が強調されたりするため、TPOに合わせたカラーを取り入れましょう。
ビジネスシーンでは、落ち着いたカラーを選ぶと良いでしょう。
具体的にはブラック、ホワイト、グレー、ネイビーがおすすめです。
いずれもビジネス用のスーツ・シャツと合わせやすく、悪目立ちすることはありません。
重厚感やフォーマルな雰囲気を強調したいならブラック、清潔感や実用性を重視するならホワイト、少しだけカジュアルさが欲しいならグレーかネイビーを選びましょう。
カジュアルシーンでは、基本的には好みのカラーで問題ありません。
自分の好きな色味を選ぶことによって、腕時計により愛着が湧きやすくなります。
ただ、普段着への合わせやすさを考慮すると、ブルーやグリーン、ブラウン、アイボリーあたりの主張しすぎない色がおすすめです。
合わせる洋服を選ばず、知的で清潔な雰囲気を演出できます。
一方、フォーマルなシーンではホワイト、またはブラックの文字盤がおすすめです。
いずれも上品さがあり、タキシードやスーツにも合わせやすいでしょう。
少しだけ華やかさが欲しいなら、シルバーの文字盤もおすすめです。
スポーツ・アウトドアで着用するなら、文字盤のカラーはレッド、オレンジ、イエロー、ブルーなど、はっきりとした色味が定番です。
いずれも視認性が高く、屋外や暗い場所でもしっかりと時刻を確認できます。
また、アクティブな雰囲気も魅力的なポイント。
アクティブウェアにマッチしやすいのはもちろん、近年トレンドになっているスポーティーなファッションにも合わせやすく、デザイン性も楽しめます。
ブラック、シルバー、ホワイト、アイボリーといったクラシックカラーの文字盤は、ヴィンテージウォッチの世界で長く支持されてきた定番色です。
派手な色味ではないものの、針やインデックスとのコントラストが明確で視認性に優れ、時計としての実用性をしっかり備えています。
また、焼けや退色など、経年変化によって生まれる独特な風合いも魅力のひとつ。
ヴィンテージならではの奥行きと風格が感じられ、カジュアルなシーンはもちろんフォーマルなシーンにもマッチします。
文字盤は情報を表示する場所であり、腕時計の印象を決める部分でもあるため、実に多くのデザイン技法がなされています。
具体的に文字盤にはどのようなデザイン技法が集約されているのか、以下で詳しくチェックしていきましょう。
ラッカー塗装とエナメル文字盤は、どちらも光の反射を前提に作られていますが、実は似て非なるものです。
ラッカー塗装は塗料を何重にも重ねて塗装する技法で、フラットで均一な表面感が魅力的。
デザインの自由度が高く、比較的手に入りやすい価格帯が多い点も特徴的です。
一方、エナメル文字盤はおよそ800℃の熱でガラス質の粉末を何度も焼き付けて作る技法で、深い艶が魅力的。
高い技術が必要な分高価格帯のものが多いものの、長く使っても変色しにくく、手に入れた時のままのデザインを楽しめます。
ただし、衝撃には弱く、経年変化でひび割れが発生しやすい素材なので注意が必要です。
「ギョーシェ加工」とは、文字盤の表面に繊細な幾何学模様を彫刻する装飾技法のこと。
もともとは懐中時計や装身具に用いられていた技法で、18〜19世紀ごろに発展しました。
表面の凹凸に光が反射することで生まれる独特な表情がとにかく美しく、身につけるだけで装いが格上げされるような上品さが何よりも魅力的です。
また、ギョーシェ加工はデザイン性だけでなく視認性を高める役割も担っており、まさに匠の技が詰まった技法と言えるでしょう。
時刻を示すインデックスも、文字盤、ひいては腕時計の印象を決める大切なポイントです。
この項目ではインデックスの種類や視認性を高めるための工夫など、インデックスの基礎知識を解説します。
インデックスには様々な種類がありますが、一般的なのはバー・アラビア数字・ローマ数字の3種類です。
それぞれ解説していくと、バーはシンプルかつエレガントな雰囲気が特徴的。
文字盤全体がスッキリとしていて、時刻を読み取りやすい点が魅力的です。
アラビア数字は俗に言う「算用数字」が配されており、フォントにもよりますが、3種の中では比較的カジュアルな印象が強いでしょう。
「1=I」「2=II」と表記するローマ数字は、クラシックな雰囲気が最大の特徴です。
上品な印象が強く、ドレスウォッチに多く取り入れられています。
一部の腕時計は、インデックスや針に夜光塗料が仕込まれています。
これは、暗いところでの視認性を上げる工夫の一つです。
夜光塗料を仕込むことで、暗いところでもインデックスと針の位置を正確に把握できるようになり、時刻をしっかりと読み取れるようになります。
当初、夜光は「ラジウム」、続いて「トリチウム」という自発光の物質が使用されていましたが、どちらも放射性物質であることと、トリチウムは徐々に夜光としての機能を失うことから、現代ではほぼ使用されなくなりました。
1993年以降は、光を蓄えて発光する「蓄光」タイプの夜光が多く使用されています。
お気に入りの腕時計を長く使い続けるためには、定期的なメンテナンスと必要に応じた修理が欠かせません。
最後に、文字盤のメンテナンスと修理について解説するので、こちらもぜひ参考にしてください。
文字盤にサビや変色などの経年劣化が生じる主な理由は、湿気と直射日光です。
防水性が弱い腕時計は湿気の影響を受けやすく、文字盤がサビる事があります。
また、日の光にあたり続けると紫外線によって文字盤が焼け、変色してしまうこともあるでしょう。
腕時計は日常使いするものであり、いくら保管方法を工夫したとしても、サビや焼けを完全に防ぐことはできません。
あまりに気になるようであれば専門ショップで文字盤そのものを交換する、パーツの調達が難しい場合はリダン(文字盤再生)を行うと良いでしょう。
リダンの具体的な内容は腕時計の状態や依頼内容によって異なりますが、基本的には文字盤のインデックスや塗装を剥がし、もう一度塗り直し&インデックスの取り付けを行います。
そのため、リダンするとオリジナル性が失われる可能性もある点に注意しましょう。
あえて文字盤の色やインデックスを変える「カスタムリダン」という方法もありますが、オリジナル性を残したいのであれば、定期的なメンテナンス(オーバーホール)は必須です。
また、職人の腕によっても出来上がりが左右されるため、リダンする場合は依頼先の実績等をしっかりチェックした上でお願いしましょう。
文字盤は腕時計の印象を決める、いわば主役のパーツです。
針のデザイン、文字盤のカラーなどによって印象が大きく変わるため、ぜひ当記事を参考にお気に入りの一本を探してみてください。
基本的に自分好みのデザインを選ぶ事が腕時計を長く愛用する秘訣ですが、シチュエーションに応じたデザインを取り入れるのは、大人のマナーでもあります。
「気に入って買ったものの、あまり着用できない」という後悔をしないためにも、まずはどのシーンで着用する腕時計が欲しいのかを明確にし、その上で着用シーンに合うものを探すと良いでしょう。
そして運命の一本に出会えたら、ぜひ定期的にメンテナンスをし、長く着用し続けてください。
- 文字盤は時計の印象を決める、まさに“時計の顔”
- 針やインデックスの違いで、見た目と雰囲気が大きく変化
- シンプルから多機能まで、使い方に合わせて選ぶのがコツ
- シーン別にカラーを選べば、コーデ全体がまとまりやすい
- 装飾や夜光、ケアの知識で、時計をもっと長く楽しめる

