
OURO事業部 部長
辻野 雄弥
プロフィール
OURO創業期より事業に参画。国内外の営業基盤をゼロから構築し、現在20カ国以上に広がる販売ネットワークの構築および拡張を実現。
年間取引高1600億円規模における取引判断を主導し、真贋判定、相場判断、販売先選定を含む意思決定を統括。商材面においても定番モデルから希少モデルまでの幅広い取引経験を有し、営業および事業成長を現場起点で牽引している。
https://brandouro.com/column/reviewer_yuuya_tsujino/
腕時計のガラス(ガラス風防)にできた僅かな傷を、修理せずに放置してはいませんか?
「ちょっとした傷だから気にならない」と放置してしまうと、時計の寿命を縮める原因になってしまいます。
傷から湿気や埃が侵入してしまうと、ムーブメントの錆や文字盤や針の腐食といった深刻なダメージを招く恐れがあるので注意が必要です。
本記事では、腕時計のガラスの種類と傷がついたときの対処法、注意点を詳しく解説します。
ガラスを交換するときの相場についても紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
メンテナンス方法を判断する第一歩として、まずは自分の腕時計に使われているガラスの種類を特定することが重要です。
腕時計のガラスには主に「アクリル」「ミネラル」「サファイア」の3種類が存在します。
それぞれ硬度や特性が大きく異なるので、誤った方法で手入れをすると取り返しのつかない事態になりかねません。
アンティークウォッチに多く見られるアクリルガラスは、プラスチック素材なので軽量で加工性に優れているのが特徴です。
「プラスチック風防」や「有機ガラス」とも呼ばれており、1960年代頃までの時計に多く採用されていました。
素材が柔らかく傷つきやすい反面、強い衝撃を受けても割れにくいというメリットがあります。
爪で叩くと「コツコツ」と軽い音が鳴るので、他の硬質なガラスとは容易に判別できるでしょう。
一般的なカジュアルウォッチに広く採用されているのが、特殊な熱処理を施して硬度を高めたミネラルガラスです。
「無機ガラス」の一種であり、コストパフォーマンスと加工のしやすさから多くのブランドで使用されています。
アクリルよりも硬く傷に強い一方で、強い衝撃が加わると粉々に砕け散る性質を持っています。
表面に傷がついた場合、家庭での研磨による修復は極めて困難であると考えてください。
ロレックスやオメガといった高級時計で良く採用されているのが、人工サファイアを用いた極めて硬度の高いサファイアガラスです。
ダイヤモンドに次ぐ硬さを誇るので、日常生活で擦り傷がつきにくい傾向があります。
「サファイアクリスタル」とも表記され、高い透明度と高級感のある質感が魅力です。
近年ではApple Watchの上位モデルにも採用されていますが、加工の難しさから交換費用は高額になる傾向があります。
腕時計のガラスに傷がついた際の対処法は、そのガラスが「アクリル」か「それ以外」かによって大きく異なります。
まずは自分の時計のガラス素材を確認し、適切な修理方法を選択しましょう。
誤った方法で磨いてしまうと、傷を広げるだけでなく時計全体の価値を損なう恐れがあるので慎重な判断が必要です。
アクリルガラスにできた浅い傷であれば、市販の研磨剤を使用して自分で対処することが可能です。
表面を薄く研磨することで、新品のような透明感を取り戻すことができるでしょう。
具体的な手順は以下の通りです。
- ガラスとケースの隙間に保護テープを貼る
- 乾いた布(天然素材のもの)に時計風防用研磨剤をつける
- 腕時計のガラス表面を優しく円を描くように擦る
- 最後に濡れた布で綺麗に拭き取る
研磨剤は一度に大量に使うのではなく、少量を布になじませて使用してください。
ミネラルガラスやサファイアガラスに傷がついた場合は、非常に硬度が高いので研磨で落とすことは困難です。
これらの素材は素人が手を出して直せるものではないので、専門の業者に相談してください。
無理に磨こうとすると、表面のコーティングが剥がれて見栄えが悪くなる恐れもあります。
傷が深く、研磨でも改善が見込めない場合は、ガラスそのものを交換することになるでしょう。
先述したように、アクリルガラスにできた浅い傷は自分で改善することができます。
しかし、対処の方法を誤ると、逆に時計を傷めてしまう恐れがあります。
ここでは、腕時計のガラスの傷を自分で対処するときの注意点を解説します。
アクリルガラスは、ミネラルガラスが普及する以前の1940年代から1980年代頃によく使われていました。
しかし、現在では採用例が減少しています。
一方、アンティーク市場では非常に高い人気を誇っています。
アンティーク時計は、当時のままの状態であるオリジナリティに大きな価値があるものです。
安易にガラスを磨いてしまうと、かえって時計そのものの価値を下げてしまう可能性があります。
価値のあるアンティーク時計を所有している場合は、作業前にプロに相談するのがおすすめです。
アクリルガラスを研磨する行為は表面を薄く削ることと同じなので、何度も繰り返すと耐久性が落ちてしまいます。
研磨をしすぎるとガラスの強度が低くなり、少しの衝撃で割れやすくなることがあるのです。
最悪の場合、時計そのものが使い物にならなくなる恐れもあるので、頻繁に磨くのは控えましょう。
少しでも不安を感じるようであれば、無理をせず専門の業者に依頼するようにしてください。
| 種類 | 価格 |
|---|---|
| アクリルガラス | 8,000円~ |
| ミネラルガラス | 10,000円~ |
| サファイアガラス | 20,000円~ |
腕時計のガラスに傷がついた際は、自分で直そうと無理をせずプロにガラス交換を依頼するのがおすすめです。
素材ごとに交換費用は異なるので、事前に相場を把握しておくとスムーズに依頼できます。
ここでは、代表的な3種類のガラスについて、それぞれの交換料金の目安を紹介します。
費用はモデル、純正部品の有無、防水構造、形状などで異なりますので注意してください。
アクリルガラスの交換費用の相場は、8,000円からが一般的です。
比較的安い料金で取り替えられますが、現在はパーツの流通が少なくなっているので価格は上昇傾向です。
ミネラルガラスの交換にかかる料金相場は、10,000円からが一般的です。
ガラスが完全に破損している場合は、時計の寿命を延ばすためにオーバーホール(分解掃除)が必要になることもあります。
その際は別途費用が追加されてしまうので、見積もりのときにしっかりと確認しておきましょう。
サファイアガラスの交換相場は20,000円からが一般的で、他の素材に比べると高額になる傾向があります。
非常に硬い鉱石を素材に使用しているので、加工や調達にコストがかかってしまうのです。
また、ガラス交換のみの修理依頼をした場合でも、オーバーホールや部品交換など他の修理も強制されてしまうケースも存在します。
高価な時計に使われることが多い素材だからこそ、確かな技術を持つ業者に依頼するようにしてください。
ミネラルガラスやサファイアガラスの傷は研磨で落とすのが難しいので、アクリルガラス以外の修理は専門業者に任せるのが安心です。
アクリルガラスの小さな傷であれば自分でも改善できますが、作業には細心の注意を払わなければなりません。
研磨をしすぎてガラスが薄くなると、時計内部に水やゴミが入り込んで時計そのものが故障する原因になります。
腕時計のガラスに傷がついたときは、専門業者に任せるのがおすすめです。
今回紹介したポイントを参考にして、大切な腕時計を美しく生まれ変わらせましょう。
- 腕時計のガラス傷は、放置すると内部劣化を招く原因に
- アクリル・ミネラル・サファイアで対処法は大きく異なる
- 自己研磨は素材を見極め、やりすぎに注意が必要
- 不安な傷や高級時計は、専門業者への依頼が安心

