
OURO事業部 部長
辻野 雄弥
プロフィール
OURO創業期より事業に参画。国内外の営業基盤をゼロから構築し、現在20カ国以上に広がる販売ネットワークの構築および拡張を実現。
年間取引高1600億円規模における取引判断を主導し、真贋判定、相場判断、販売先選定を含む意思決定を統括。商材面においても定番モデルから希少モデルまでの幅広い取引経験を有し、営業および事業成長を現場起点で牽引している。
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時計のムーブメントとは時を刻むための機械部分のことで、時計の心臓ともいえる存在です。
ムーブメントには様々な駆動方式、機構があり、種類によっても精度や性能・特徴は大きく異なります。
この記事では、奥が深い時計のムーブメントの種類や見分け方、ムーブメントの歴史について深堀して紹介します。
ムーブメントとは、腕時計の駆動を司る装置の総称です。
自動車でいうところの「エンジン」にあたる部分であり、時計の心臓部ともいわれます。
内部には、種類によってぜんまいや歯車、あるいは電子回路といった多種多様なパーツが緻密に組み合わさっており、それらが連動することで針や表示を動かしています。
搭載されるムーブメントによって、時計の精度や機能性に差が出るだけでなく、その製品の資産価値をも大きく左右する、非常に重要な要素となります。
時計のムーブメントは、動力源や仕組みによっていくつかの種類に分かれます。
大きく分けて「機械式」と「クォーツ式」が一般的でしたが、近年はその両方の長所を掛け合わせたハイブリッド型も登場しました。
こちらでは、代表的な時計のムーブメントの種類を紹介します。
- 自動巻き
- 手巻き
- クォーツ
- オートクォーツ
- スプリングドライブ
機械式時計の中でも一般的なムーブメントなのが「自動巻き」。
腕時計装着時の自然な体の動作によってローターと呼ばれる重りが回転し、ゼンマイを巻き上げる機械式ムーブメントです。
電池を使用せず、日常的に着用していれば動き続けてくれるのが最大の特徴といえるでしょう。
機械式腕時計ならではの構造の美しさを楽しめるのも魅力です。
時計の原点ともいえる機械式ムーブメントが「手巻き」。
自動巻き式のようなローターがなく、自身でリューズを回してぜんまいを巻き上げる必要があります。
また、自動巻き時計と比べ構造がシンプルなので、薄型で軽量モデルが多いのも特徴といえるでしょう。
このリューズを回す動作は、時計に「命を吹き込む儀式」とも称され、今なお多くの腕時計ファンに根強く愛されています。
あえて手間のかかる手巻き式時計を選び、その伝統やロマンを堪能できるのは手巻きならではの醍醐味といえるでしょう。
水晶を使用した水晶振動子で時を刻む、電子ムーブメントの「クォーツ」。
日本を代表する時計メーカーの「セイコー」が、1969年に世界で初となるクォーツ式ムーブメントを搭載した腕時計を発表しました。
電池を原動力としているため定期的な電池交換は必要ですが、身に着けていない間も動き続けてくれます。
また、クォーツ式時計は精度が高く、腕時計に正確性を求める人に人気のムーブメントです。
「オートクォーツ」はクォーツ式の基本構造に加え、自動巻き時計のように内部に重りを備えており、それらが発電機の役割を果たすムーブメントです。
クォーツ時計の正確さを持ちながら定期的な電池交換の手間が省ける、機械式とクオーツ式の正確性と利便性を兼ね備えた仕組みとなっています。
「スプリングドライブ」は1999年にセイコーが開発・発表した独自のムーブメント。
ゼンマイの動力源と水晶振動子・IC回路を組み合わせることで、機械式の強いトルクとクォーツ式の正確さを両立したハイブリッドな駆動方式です。
「スイープ運針」を採用しており、秒針が滑らかな動きをするという特徴があります。
時計のムーブメントは、文字盤の表記や秒針の動きを観察することである程度見分けることが可能です。
まず注目したいのが、秒針の動き。
手巻きや自動巻きムーブメントである機械式では秒針が滑らかに動く「スイープ運針」を採用しており、クォーツ式では1秒刻みで動く「ステップ運針」を採用しています。
自動巻き・手巻きを見分けたい場合は、リューズを巻くと判別しやすいでしょう。
手巻きの場合、リューズを回した際の手応えや音がしっかりとあります。
一方、自動巻きはリューズを巻いた時の手応えが弱く、ゼンマイの音も僅かしか感じられません。
現代は、ライフスタイルに合わせて時計のムーブメントを自由に選べる時代です。
しかし、その小さな空間には、数世紀にわたる進化の歴史と作り手の情熱が凝縮されています。
ムーブメントの歩みを知ることで、腕時計がどのように精度を高め、工芸品としての美しさを磨き上げてきたのかが見えてくるはずです。
こちらでは、現代へと続くムーブメントの発展の歴史を紐解いていきます。
機械式時計の起源は、動力源におもりを使用して歯車を動かしていた13世紀の巨大な塔時計の仕組みからはじまりました。
15世紀後半には、現在と同じゼンマイを動力源とした発明がされ、1600年頃には人々が携帯できるほどの小型ムーブメントへと発達したといわれています。
17世紀に入るとホイヘンスが振り子の原理を応用し、精度が飛躍的に向上し時計が実用程度に「分」を扱えるようになりました。
さらに、大航海時代では、海上でも狂わない「マリンクロノメーター」が航海術を劇的に向上させ、第一次世界大戦を経て懐中時計から腕時計と姿を変えました。
クォーツ式時計が誕生したのは、機械式よりも後の20世紀に入ってからのことです。
電子技術の発展により究極の精度を追求する中で生まれたこのムーブメントは、1969年にセイコーが世界初のクォーツ腕時計「アストロン」を発売したことで普及しました。
圧倒的な精度と低コスト化は「クォーツショック」を引き起こし、スイスの伝統産業を震撼させたほどです。
現在は、実用的なクォーツと技術の結晶である機械式が共存し、新たな駆動方式の開発も含め、時計の歴史は今なお進化を続けています。
時計の世界には、多くのブランドに採用される「名作」と評されるムーブメントが存在します。
知れば知るほど、その緻密な構造や歴史の深さに圧倒されるはず。
こちらでは、そんなロマンや技術が詰まった時計のムーブメントの中でも代表的なものを紹介します。

「ETA7750」は、1973年にバルジュー社が開発した自動巻きクロノグラフムーブメント。
IWC、ブライトリング、オメガなど、数々のクロノグラフモデルに搭載されてきた名機です。
最大の特徴は、極めて高い耐久性とメンテナンスのしやすさにあります。
あえて複雑な機構を避け、質実剛健な設計を採用することで、大量生産と高精度を両立しています。
現代においてもクロノグラフの標準として世界で最も信頼されるムーブメントです。

スイスの機械式時計メーカーのセリタ社が手がけた、汎用クロノグラフムーブメント。
名機・ETA7750の設計をベースに開発されており、スペックについても本家と遜色のないほどのクオリティを誇っています。
パーツの細部までしっかりと作り込まれており、高い互換性と安定した精度はもちろんメンテナンス性の高さが魅力です。
「ジン」や「ウブロ」、「オリス」などに採用されている汎用ムーブメントで、現在でも幅広い価格帯のモデルに搭載されています。

「レマニア」は、スイスの時計・ムーブメント製造メーカーのレマニア社にて開発されたムーブメント。
時計マニアの間では隠れた名ブランドと評されており、世界三大時計ブランド(パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタン)やオメガの「スピードマスター」にも採用された名ブランドです。
現在は、高級時計メーカー・ブレゲに買収され社名こそ残っていませんが、その技術はムーブメント製造部門として受け継がれています。

「エル・プリメロ」は、1969年にゼニスが開発した世界初の自動巻きクロノグラフムーブメントです。
エル・プリメロは「最高」「最初」を意味します。
当時の基準を大きく上回る毎時36,000振動という驚きのハイビートを実現し、当時から現代に至るまで時計界の常識を覆し続けています。
その精度の高さから、かつてのロレックス「デイトナ」に採用されたことでも、注目を集めました。
誕生から半世紀以上経った今なお、ハイビートムーブメントの最高峰として高い人気を誇っています。
小さな時計の中に詰まった歴史や技術に触れると、手にする一本がより愛おしく感じられるものです。
しかし、ムーブメント1つとっても種類が多く「結局どう選べばいいの?」と悩んでしまうかもしれません。
こちらでは、時計のムーブメントに関するよくある質問をいくつか紹介します。
あなたにピッタリのムーブメント選びの参考にしてみてくださいね。
時計のムーブメントとは一言でいうと、時間を刻むための内部機構全体のことです。
自動車で表すと「エンジン」のような存在で、時計の精度や使い勝手を大きく左右する重要なパーツでもあります。
また、秒針の動きや「カチカチ」という機械音などの個性も、ムーブメントによって決まります。
時計のムーブメントを大きく分類すると「機械式」と「クォーツ式」の2種類が存在します。
さらに細かく見ると機械式には「手巻き」「自動巻き」があり、近年では機械式とクォーツ式の両方の側面をもつ「スプリングドライブ」「オートクォーツ」などのハイブリッドな種類も登場しています。
ムーブメントを選ぶ際は、重視したいポイントに合わせて選ぶのがおすすめです。
ライフスタイルや好みに応じて、何を最優先したいのかをイメージしてみると、自分にぴったりの種類が見えてくるでしょう。
長く愛用したい人や伝統やロマンに魅力を感じる人には、自動巻き・手巻きといった機械式がおすすめです。
正確さと手軽さを重視する人は、メンテナンスの手間が少ないクォーツ式が良いでしょう。
精度も伝統的な技術も堪能したいという場合は、スプリングドライブやオートクォーツなどのハイブリッドモデルを選んでみてはいかがでしょうか。
時計のムーブメントとは、時計を動かすための内部構造全体のこと。
人間でいうところの「心臓」にあたる、デザインと同じくらい重要となる部位です。
時計そのものの個性や精度、使い心地はもちろん、歴史的な背景や技術の結晶ともいえる存在で、知れば知るほどその奥深さに魅了されてしまうでしょう。
時計を選ぶ際は、どの種類のムーブメントが使用されているのかにも、ぜひ注目してみてください。
自分のライフスタイルや価値観にぴったりの「心臓部」を見つけることで、手にする一本への愛着はより一層深まるはずです。
それぞれの個性や特徴を押さえてお気に入りの一本を見つけてくださいね。
- ムーブメントは時計の心臓部で精度や価値を左右する重要機構
- 自動巻きや手巻き、クォーツなど多様な種類と特徴がある
- 駆動方式により使い勝手やメンテナンス性に大きな違いが出る
- 秒針の動きや表示からムーブメントの種類を見分けることも可能
- 歴史ある名作ムーブメントが時計文化の進化を支えてきた

